TradingViewの投資戦略テスター完全解剖マニュアル

様々な銘柄のチャートを見たり、インジケータを適用して可視化を行ったり、簡単な投資戦略の作成を行う際の便利なチャートシステムにTradingView(トレーディングビュー)と呼ばれるものがあります。
TradingViewの便利な機能のひとつが「投資戦略テスター」です。投資戦略テスターとは、投資戦略(ストラテジー)を作成してバックテスト(過去の数値を元にした売買シミュレーション)を行った結果を損益グラフや数値で示してくれるものです。

なんとなく損益グラフの形を見て「右肩上がりだし良さそう」ということはわかっても、それぞれの数値がどういったものなら優秀なものと言えるのかどうかなどの判断はつきにくいものです。投資戦略テスターを使えばPE(プロフィットファクター)を確認できます、とだけ言われてもその数値が何なら良いものなのか?など初心者の方にとってはわかりにくいですよね。

そこで今日は「投資戦略テスター」にある項目を1つずつ分解していき、ある戦略が使えそうか否かの判断を行う際の材料にしていただけるような『TradingViewの投資戦略テスター完全解剖マニュアル』を作成しました。

※TradingViewって何?という方はまずこちらをご覧ください。
 『TradingView -いい感じのチャートサービス-』

投資戦略テスターって何?

投資戦略をシミュレーションするための簡易的な機能のことです。ある戦略を作成したチャートに当てはめると、チャート上に売買ポイントが示され、その売買の結果どういった損益グラフが描けるのかが表示されます。

たとえば以下のようなものです。

投資戦略テスターを使う際には、

  • どの銘柄の
  • どの足の長さで
  • どういった戦略をシミュレーションするのか

の3点が必ず必要です。
ここでは「bitFlyerのFXBTCJPYの」「1時間足で」「TradingViewにデフォルトで搭載されているボリンジャーバンドストラテジーを」シミュレーションした結果を表示させています。

投資戦略テスターで見るべきページは4つです。

1. ストラテジーの設定画面

バックテストの設定画面です。ここで初期資金や手数料の数値を変更できます。

2.損益グラフ

損益グラフが表示されている概要画面です。損益グラフの形の他、勝率、PF、最大ドローダウンといった数値を確認できます。

3.パフォーマンスサマリー

バックテスト結果の細かい数値を確認することができる画面です。

4.トレード一覧

いつトレードしてそのときの結果がどうだったのかを時系列に沿って記載している画面です。

それではさっそく、それぞれの項目や数値についてどうやって見ればいいのかについて網羅的に書いていきます。

ストラテジーの設定画面について

まずはストラテジーの設定画面からです。「プロパティ」で表示される項目でどんな設定で売買を行うのかを決めていきます。
ちなみに「パラメータ」はそのストラテジーで変数として設定している項目の数値を変更するもの。「スタイル」はチャート上への描写形式を変更するものです。

この設定画面には、pine scriptで指定したものが表示されます。何も指定していない場合にはデフォルト値が表示されます。pine scriptで指定していても、設定画面で数値を変更すればバックテスト結果に反映されるので、逐一pine scriptに戻って記述しなおす必要はありません。

①初期資金
バックテスト開始時の資金量を設定します。デフォルトだと100,000になっています。この数値によって純利益や最大ドローダウンの値が変わってきます。初期資金が少なければ少ないほど、純利益や最大ドローダウンは大きくなります。

②基準通貨
バックテストで使用する通貨を選択します。

➂発注サイズ
取引における発注を数量、約定金額、口座資産に対する割合のどれで行うのかを指定します。通常は数量1のままで構いません。どれを選択するのかによってバックテスト結果は変わってきます。たとえば発注サイズを1円に設定すると、1円以下の銘柄は売買できないので、売買銘柄の価格が1円より大きい場合には取引が行えません。

④ピラミッティング
ピラミッティングを行う回数を指定します。ピラミッティングとは同じ方向に注文を重ねて行うことです。ピラミッティングを複数行うことのできるpine scriptのときに有効になります。

⑤手数料
手数料を設定できます。約定金額に対するパーセンテージ、注文や約定に対する絶対額で指定することができます。

⑥指値価格の厳密性
指定したティック数離れたところで指値約定するとみなす場合に設定するものです。指値注文を行うように指定したストラテジーで、バックテストの精度を上げたいときに使用します。

⑦スリップページ
スリップページを想定して、指定したティック数だけ不利な価格で約定したことにするための設定です。

⑧再計算
注文約定後やティックごとに計算を行うストラテジーで有効する項目です。通常は無視で構いません。

初心者の方が特に着目すべきなのは「初期資金」「発注サイズ」「手数料」の3つです。特に初期資金の金額が変わることで損益グラフの形は変わらないのに純利益や最大ドローダウンが変わることを理解していないと混乱してしまいます。

たとえば初期資金を100円、発注サイズを1にするとバックテスト結果はこうなります。

利益率はマイナス186万%、最大ドローダウン率はマイナス228万円%になっています。

ここで初期資金を1,000,000にするとどうなるでしょうか。

利益率はマイナス186%、最大ドローダウン率はマイナス228%に変わったことがわかります。
純利益額、最大ドローダウン額、損益グラフの形といったものは初期資金を変更しても変わりませんが、純利益率や最大ドローダウン率は初期資金を変更することで変わります。

考えてみれば当たり前のことではありますが、わかっていないと混乱してしまうので注意してください。
厳密性には欠けますが、簡単に見ることのできる範囲でリアリティのあるシミュレーション結果が見たいときには、トレード一覧を見て最初にトレードしたときの金額を初期資金の金額として設定してください。
価格は変化するのでこれでも不十分ではありますが、デフォルト金額のままよりは参考になる結果が出てきます。

損益グラフについて

損益グラフについてです。一番目につくところです。

①損益グラフ
損益グラフの表示画面です。資産がどのように推移するのかを視覚的に表したものになります。横軸は取引回数であり、時間の長さを表したものではないことに注意してください。⑨~⑫の項目を変更することによって表示形式は変わります。

②純利益
損益額と損益率です。損益率は初期資金の設定によって変化します。純利益となっていますが、これはTradingView日本語版の翻訳が正しくありません。

➂終了したトレードの合計
何回のトレードを行ったのかを表示しています。このトレード回数は新規注文→決済注文で1回としてカウントされるものであり、新規注文を行った時点ではカウントされません。そのためたとえば100回の買い注文を行って、1回の決済注文ですべて決済を行ったときには、トレード回数は1回になります。トレードのロジックによってはこの数字と実際の取引回数に大きな乖離が生じるので注意してください。常にドテン売買を行うロジックであれば注文回数は一致、新規注文と決済注文が必ず1:1の対応になるロジックでは注文回数はこの数字を2倍した数字になります。

④勝率
勝率です。決済注文を行ったときにその注文が利確だったらプラス、損失だったらマイナスとしてカウントされます。初心者の場合、勝率が高ければ高いほど良い戦略であると思ってしまいがちですが、勝率はひとつの要素でしかありません。勝率99%でも破産する戦略もあれば、勝率20%でも優秀な戦略もあります。勝率だけを見ず、他の項目も合わせて見るようにしてください。
また後述するペイオフレシオと合わせて見ることが非常に重要です。

⑤プロフィットファクター
「勝ちトレードの総利益 / 負けトレードの総損失」で計算される項目です。PEとも表記します。取引回数が一定数以上ありプロフィットファクターが高い戦略は一般的に優秀であるとされています。プロフィットファクターが1.0以上ならバックテストでは利益を生んだ戦略、1.0未満なら損をする戦略です。
1.5~2.0ぐらいあれば優秀な戦略であると言えます。10以上など極端に数値が大きいものについては、カーブフィッティングの可能性が高くなるので危険です。たとえば数値をよく見せることだけを目的にすれば、ナンピンを使ったりしてプロフィットファクターが100以上の戦略を作ることも簡単にできてしまいます。
また、取引回数が一定数以上というのは具体的に何回なら良いのか?については、どの銘柄を扱うのか、その銘柄を取り巻く状況はどうか、といった要素に左右されるものであり一概には言えません。その上で目安をあげるとしたら100回以上は欲しいところです。

⑥最大ドローダウン
純資産価値のピークから谷までの損失の中の最大値のことを指します。最大ドローダウンが50%なら、バックテストの中でピーク時の資産から50%する瞬間があったことを意味します。たいていは最悪のシナリオを想定するときに用いられます。
初期資金の設定によって最大ドローダウン率は変化することに注意してください。初期資金の設定を行っても厳密な値は計算できないので、TradingViewの最大ドローダウン率はあくまでも参考値としてみてください。
そのため最悪のシナリオの想定としてTradingViewの最大ドローダウン率を信じることは非常に危険です。バックテスト期間として切り取る期間によっても変化します。初期資金を最初にトレードしたときの金額に設定した上で最大ドローダウン率を見て、その最大ドローダウン率を2倍にした値を想定するぐらいがちょうどよいです。

⑦平均トレード
平均トレードの損益額と損益率を示したものです。1回のトレードは決済注文単位でカウントされることに注意してください。

⑧トレードでの平均バー数
1回のトレードにかかった時間をローソク足の数で表示しているものです。画像ですと45本となっています。この戦略は1時間足の戦略なので、新規注文から決済注文までにかかる平均時間は45時間であるということになります。戦略がどのような性質を持つものなのかがこの数値を見ることで何となくわかります。

⑨ドローダウン
クリックするとドローダウンを①の領域に描写します。

⑩資産
クリックすると資産を①の領域に描写します。

⑪バイ・アンド・ホールドでの資産増減
売買銘柄をバックテスト期間中に保有していたときの資産推移と投資戦略による資産推移を比較することのできるものです。バイ・アンド・ホールドよりも劣っているのであれば微妙な戦略だ、と判断する際などに使用する便利な機能です。ただしシャープレシオを重視してバイ・アンド・ホールドによる乱高下を回避しつつ資産増を目指す戦略だったり、複数の戦略を組み合わせることを前提にした戦略を取る場合などは、バイ・アンド・ホールドに劣っているからと言って必ずしも悪いわけではありません。

⑫絶対値/パーセンテージ
損益グラフの縦軸を絶対値/パーセンテージで切り替えることができます。

損益グラフの項目はすべて重要です。損益グラフの形やプロフィットファクターに注目してしまいがちですが、それ以外の項目もしっかりと見るようにしましょう。また、最大ドローダウン率については初期資金の設定を行った上で見るとともに、TradingViewでの表示には限界があることにも注意してください。

パフォーマンスサマリー

続いてパフォーマンスサマリーです。損益グラフ画面では表示しきれない数値が載っているページです。
「すべて」「ロング」「ショート」の3項目にわかれて以下の16に分類できる項目があります。

①純利益/純利益/純損失
損益額(率)合計、純利益(率)、純損失(率)をそれぞれ表したものです。1つ目が純利益となっているのはTradingView日本語版の表記が間違っているためです。純利益と純損失を合わせたものがトータルの損益額になります。

②最大ドローダウン
最大ドローダウンです。詳細は損益グラフの記載を参考にしてください。

➂バイ・アンド・ホールドでのリターン
バックテスト期間でバイ・アンド・ホールドしたときの損益額(率)を表示しています。

④シャープレシオ
シャープレシオは資産が効率的に運用されているのかを示す指標です。投資戦略の平均リターンをリスク(標準偏差)で割った値として計算されます。リターンを得るためにどれだけのリスクを取っているのかを数値化した指標です。金融機関で非常によく使われています。SRと表記することが多いです。
一般的には0.5未満だと悪い、0.5以上~1.0未満だと普通、1.0以上~1.9未満だと優秀、2.0以上だと極めて優秀とされることがあります。ただし、基本的に同種の投資対象の投資戦略で比較する際に用いるのが効果的であるため、絶対値を見るよりも相対的に見ることをオススメします。
ちなみにトレンドフォロータイプの戦略だと基本的にシャープレシオは悪くなります。

⑤プロフィットファクター
プロフィットファクターです。詳細は損益グラフの記載を参考にしてください。

⑥最大保有数
バックテスト期間中に最大でいくつのポジションを持ったのかを表しています。ピラミッティングを行わないロジックの場合には必ず1になります。

⑦未決済の損益
現在の未決済の損益額(率)を表したものです。損益グラフがきれいでも、実は塩漬けにしてしまっているだけで、未決済の損益が赤字で溜まっている、というケースもあります。

⑧支払い済み手数料
設定画面で設定した手数料を合計でいくら支払っているのかを計算したものです。びっくりするほど払っているものです。必ず確認するようにしましょう。

⑨終了したトレードの合計
トレードの合計数です。詳細は損益グラフの記載を参考にしてください。

⑩未決済トレードの合計
まだ決済していないトレードの合計数です。

⑪勝ちトレードの数/負けトレードの数
決済のたびに勝ちか負けかをカウントして表示したものです。

⑫勝率
勝率です。「勝ちトレードの数/終了したトレードの合計」で計算されます。

⑬平均トレード/平均勝ちトレード/平均負けトレード
合計の平均トレードと勝ちトレードと負けトレードにわけたときの平均トレードです。詳細は損益グラフの記載を参考にしてください。

⑭ペイオフレシオ(平均勝ち/平均負けの比率)
利益が出たトレードの利益額と損失が出たトレードの損失額の比率です。リスクリワードレシオとも言います。ペイオフレシオは勝率と合わせて見ることが非常に重要です。勝率とペイオフレシオでその戦略の損益分岐点がわかるので、戦略の特性を把握したり、戦略改善を行うための材料にするための重要な情報になります。戦略改善を行うときにロジックの核を変えない場合には、勝率をあげるか、ペイオフレシオを上げるかを考えることになります。
たとえば勝率が80%あってもペイオフレシオが0.1しかなかったら損をしてしまいます。(平均負けの金額が平均勝ちの金額の10倍)

⑮最大勝ちトレード/最大負けトレード
勝ちトレードと負けトレードのうち、それぞれの最大値をピックアップしたものだと思うのですが、数値がおかしいです。この例ですと純損失の全合計値が-480%なのに、最大負けトレードは-2012%になっています。見ていない項目でわかりません。どういうことなんでしょうか。ご存じの方がいたら教えてください。

⑯トレードでの平均バー数/勝ちトレードでの平均バー数/負けトレードでの平均バー数
トレードでの平均バー数と、それを勝ちトレードと負けトレードに分解して表したものです。損失を長く抱えずに利益を伸ばす戦略になっているかどうかなど、戦略の特性を把握するための重要な項目です。ここでは表示されませんが、勝ちトレードでの平均バー数と負けトレードでの平均バー数の比率に着目するのもオススメです。

損益グラフに表示されている項目を除外すると、ここで特に重要なのは「シャープレシオ」「支払い済み手数料」「ペイオフレシオ」「勝ちトレードでの平均バー数/負けトレードでの平均バー数」です。
それぞれ戦略の特性を把握する上で重要で参考になる項目です。

トレード一覧

トレード一覧ぺージです。

このページだけをつぶさに見るというよりは、チャート上の気になるポイントの売買結果がどうだったのかを照らし合わせて確認するときに使用することが多いものです。
最終トレードの状況を見て現在のポジション状況を確認したりするときにも用います。

またTradingView外での作業になってしまいますが、個人的にはこの結果を抽出してExcelで分析しています。

まとめ

TradingViewの投資戦略テスターで見ることのできる項目について、すべて分解する形で見ていきました。重要事項をまとめます。

  • TradingViewでは投資戦略テスターの機能を用いて投資戦略のシミュレーション結果(バックテスト)を見ることができる。
  • バックテスト結果を見る前に初期資金額や手数料の設定を確認する。簡単に見ることのできる範囲でリアリティのあるシミュレーション結果が見たいときには、トレード一覧を見て最初にトレードしたときの金額を初期資金の金額として設定する。
  • 損益グラフの画面に表示される項目はすべて重要。損益グラフの形、勝率以外の項目にも着目するべし。また初期資金額の設定によって表示が変わる項目があるので注意すること。
  • パフォーマンスサマリーで特に重要なのは、「シャープレシオ」「支払い済み手数料」「ペイオフレシオ」「勝ちトレードでの平均バー数/負けトレードでの平均バー数」の4つ。戦略の特性を把握するために役に立つ。

最後になりますが、TradingViewで見ることができるのはあくまでも簡易的なシミュレーション結果です。細かい情報を見ようと思ったらトレード履歴をアウトプットして分析する必要があります。最大ドローダウンの詳細な計算は、他にも月間最高収益、月間最低収益、特定期間での標準偏差、ソルティノレシオなどあれば見たい項目がTradingViewにはありません。

それらを踏まえた上でもTradingViewの投資戦略テスターは便利なものだと思っています。この機能を使うことで、誰でも簡単に戦略がどんなものであるのかを見て考えることができます。詳細な分析を行う前に概略を確認するのであればTradingViewで十分です。
この完全解剖マニュアルの情報を元にぜひ色々な戦略を見てみたり、自分で作った戦略を検証したりしてみていただければ幸いです。

BBBでした。

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