BBBです。
この記事はトレードを数回やってみたことがある、という裁量トレーダーの方やbot初心者の方向けに書いたものです。
まず結論を先に書いておきます。
「聖杯がないかどうか探すために良いインジケーターを必死で探すことは時間の無駄です。今すぐやめましょう」
ここではなぜ無駄であるのかを書いていきます。
儲けるためにインジケーターを探す時点で終わってる
株、為替などの金融商品や仮想通貨などの取引でよく使われるものにインジケーターがあります。
インジケーターとはテクニカル分析で使う指標のことです。
インジケーターは大きく、トレンド系とオシレーター系に分かれています。
図で簡単に示すとこのようなイメージになります
トレンド系っと何?オシレーター系って何?どのインジケーターがオススメなの?といった面白くないことはここでは書きません。
そもそも儲けるために使える良いインジケーターはないか?とインジケーターありきで探索すること自体があまり意味のある行為ではありません。
インジケーターはチャートだけを見てもわかりにくいこれからの相場の動きを予測するために、OHLCVの情報を加工してわかりやすく表示させたものです。
OHLCVとは、ローソク足の始値、高値、安値、終値の4つに出来高をプラスしたものです。つまりローソク足という形にすでに加工されたデータがOHLCです。
値動きの最小単位は1つ1つの約定であり、その約定データをわかりやすい形に加工したものがローソク足であり、そのローソク足をさらに加工したものが各種インジケーターです。
つまりインジケーター作成のプロセスをまとめるとこうなります。
インジケーターとは加工に加工を重ねたデータであり、ノイズが大量に含まれてしまっています。
そのためインジケーターの情報で売買を判断すると、インジケーターの情報と値動きの因果関係を有無を判断することが困難になってしまいます。
詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
実力?いいえ、偶然。~相関と因果とカーブフィッティング~
なぜインジケーターに聖杯がないと言えるのか?
まずインジケーターを探して
→それをチャートに当てはめて
→機能するかどうかを確認し
→実際の取引で試してみる
という一連の流れは考え方としては帰納法的であると言えます。稼げるインジケーターを見つけるというゴールから逆算して考えています。
この考え方が間違っているわけでは決してありません。
ただしこれには重大な問題があります。
局所的な相関(インジケーターが機能するポイント)があったときに、それがただの偶然なのか、それとも今後も使えるものであるのか判断することは極めて困難です。
過去のチャートにインジケーターを当てはめてみると、どのようなインジケーターでも大きく値動きを取れそうなポイントが目に入ります。
その成功ポイントだけを脳内で切り取って、このインジケーターは使える!と判断してしまうことが初心者が陥りがちな罠です。
単に機能するインジケーターであればたくさんあると思います。
ですが、多くの方が思い浮かべるような「聖杯インジケーター」※として機能するインジケーターとなると話は別です。
※インジケーターに従うことで恒常的に利益を上げ続けることができるもの
数学的な意味での聖杯インジケーターは100%存在しますが、因果を導き出すことはどうやってもできません。ブラックボックス化してしまいます。
値動きとは約定データの集合体であり、インジケーターは値動きを加工して作成されたものであることを考えると、インジケーターというくくりで聖杯が存在しないことは自明です。
まあ、過去~現在の値動きに対して適当に最適化させたインジケーターを作成してから、タイムトラベルして過去に戻れば聖杯になりますね笑
世の中には数十万、あるいは数百万円もするようなインジケーターが販売されていたりしますが、聖杯であるという宣伝文句を見た際には、
「なぜ聖杯足り得るのか?どうやって聖杯であると判断しているのか?」
を聞いてみるのが良いと思います。
オマケ:演繹的思考法
オマケです。
帰納法的にしか考えず、本当は機能しないインジケーターが機能すると思い込んでしまう罠にかからないようにするためにオススメするものが「演繹的思考法」と「検証」です。
ここでは演繹的思考法について軽く触れます。
演繹的の意味をさらっておきましょう。
一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である。 帰納に於ける前提と結論の導出関係が「蓋然的」に正しいとされるのみであるのに対し、演繹の導出関係は、その前提を認めるなら、「絶対的「必然的」に正しい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%94%E7%B9%B9
なんのこっちゃですね。
簡単に書くと、「演繹的思考により出た結論は、前提が間違っていない限り正しい」と言えます。
具体例を挙げます。
・ヒトは人気のある商品を買いたがる生き物である
・供給量が限られている商品は需要の高まりによって価格が上がる
→供給に限りがある人気のある商品の価格は上がる
これが演繹法です。
前提が確かであるかどうか、論理に飛躍がないかどうかといった注意点はありますが、そこに問題がない場合、演繹法で出た結論には因果が認められます。
帰納法的思考はわかりやすいため多用しがちですが、それだけでは不十分です。
帰納法的思考と演繹的思考を組み合わせることで、ロバストな戦略を練りやすくなります。
まとめ
- インジケーターという軸で聖杯を見つけることは不可能。諦メロン!
- 聖杯がない理由の1つは、値動きの最小単位が約定データであること
- 帰納法的にインジケーターを探すだけでなく、演繹的にも考えるべし
以上、BBBでした。
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