運用のプロも使うリスクを抑える方法

  1. データ分析

はむとれ及びerizoのバックエンドを担当しています。
ジ〇バンニ改めサンタです。 (著作権の問題で改名します)
メリークリスマス!(挨拶)

いきなりですが皆さんに質問です!
もしどんなアルゴリズム取引に適用できる、リスクを抑えつつリターンを維持できるロジカルな手法があったら使いたいと思いますか?
今日は多くの運用会社で使われるそのような手法について紹介します。

投資では「ハイリスクハイリターン」とか「ローリスクローリターン」といったキーワードをよく聞きます。
「リターン」と聞いて収益や収益率を指すのはイメージできるかと思いますが、「リスク」とはなんなのでしょうか。
オックスフォード辞典によると、以下のように記載されています。


the possibility of something bad happening at some time in the future
(将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性)

Oxford現代英英辞典

日常生活ではケガをしたりとか物を失くすとか何かを失うことをリスクと呼ぶことが多いようです。

一方、ファイナンスにおいて、リスクは以下のように定義されています。


収益や損失に影響を与える不確実性

つまり、損失のようなマイナス方向だけではなく、プラス方向もリスクと考えています。 これはどういうことなのでしょうか?

次の3つの日次グラフをご覧ください。
各グラフがこの後プラスに動くのか、マイナスに動くのか予測してください。
あなたはどのグラフが一番予測できそうですか?

①または②と答えた方は正直です。③と答えた方は素直になってください。
①はプラス方向、②はマイナス方向に動きそうな傾向がみてとれるかと思います。 一方、③はプラスにいくのかマイナスにいくのかよくわかりません。

ファイナンスではマイナス方向に動いても空売りで利益を得ることができます。そのため、プラスに動いてもマイナスに動いてもその方向についてリスクと捉えません。しかしながら、どちらに動くのかわからない場合、利益が得られるのか損失がでるのかよくわかりません。そのため、ファイナンスでは不確実性をリスクとしています。

最初に述べた「ハイリスクハイリターン」とか「ローリスクローリターン」をグラフで表すと以下のようになります。 それぞれの投資対象をA,Bとしたとき、50%ずつで組み合わせるとどうなると思いますか?


「そんなの簡単!AとBのちょうど中間地点の
ミドルリスクミドルリターンになるに決まってる!」

と思ったあなたは惜しいです。 実はほぼ全ての条件で中間地点になりません。

それを証明した理論が「現代ポートフォリオ理論」です。 この理論は、1952年にJournal of Financeに発表された論文「ポートフォリオ選択」でハリー・マーコビッツが提唱し、金融工学の基礎の一つとなっています。

詳細は割愛しますが、その理論をよると、A, Bの二つが全く同じ動きでない場合、リターンは加重平均になるのに対し、リスクはお互いに弱めたり、打ち消しあって相殺したりするため、減少させることができます。これを分散効果と呼びます。「すべての卵を1つのかごに盛ってはならない」という格言でもよく知られています。

上記のような複数の投資対象を組み合わせたものをポートフォリオと呼びます。 異なる性質を持つアルゴリズム取引を組み合わせた場合(複数のアルゴリズムで構成されるポートフォリオ)はどう考えればいいのでしょうか?

機械学習の分野において、複数のアルゴリズムを組み合わせてパフォーマンスを向上させる「アンサンブル学習」という手法があります。複数のアルゴリズムを使用することで、構成する各アルゴリズムのいずれかのみから得られるよりも良い予測性能を得られることが多いことが知られています。理由は現代ポートフォリオ理論で既に説明した通りです。

この手法の利点はどのようなアルゴリズムにも適用することが可能でき、各アルゴリズムを同時運用するだけです。
しかも、どれだけ大人数が使っても“リスクが抑えられるというエッジ”が消失することはありません
各アルゴリズム取引の開発の際はこちらの記事も参考にしてみてください。

この手法に現代ポートフォリオ理論を組み合わせることで各アルゴリズムの比率の最適化が可能になりますが、詳しくはまたの機会に。

まとめ

  • リスクとは収益や損失に影響を与える不確実性を指す
  • 異なる性質を持つアルゴリズム取引を組み合わせることでリターンを維持しつつリスクを下げることができる
  • アンサンブル学習はどれだけ大人数で使っても“リスクが抑えられるというエッジ が消失しない
  • つよつよボッターも夢ではない

以上、サンタでした。

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サンタ

某メーカーの研究者。仮想通貨BOTトレーダー兼仮想通貨自動アルゴリズム取引プラットフォーム"はむとれ"&"erizo"バックエンド開発担当者です。最近著作権の問題で改名しました。

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