実力?いいえ、偶然。~相関と因果とカーブフィッティング~

  1. データ分析

BBBです。

投資を行う中で、限定的な相関しかないのに因果があると思い込んで、損失を出してしまったことはないでしょうか?
突然そんなことを言われてもピンと来ないかもしれませんが、

「過去のチャートを見た感じだとすごく儲かっていたのに実際に動かすと全然儲からなくなってしまった」

というのは因果があると思い込んだか、もしくはその戦略を稼働させることによって板状況が変化してしまったために起きることです。
前者はカーブフィッティング、後者をマーケットインパクトによる悪影響であると言えます。

今回はこのカーブフィッティングが生じてしまう原因について簡単にお話します。

<そも相関と因果とは?>

ここをしっかり書こうとすると計量経済学の話を際限なくすることになってしまうので、 ざっくりと書いてしまいます。

相関関係:2つの事柄のうち、一方が変わると、もう一方も変化する関係のこと
因果関係:2つの事柄のうち、一方が原因で、他方が結果となる関係のこと

今回はこう定義します。

世の中には、相関関係と因果関係を混同させた怪しげなデータ分析結果が溢れています。
これは何もSNSで跋扈する詐欺師に限った話ではなく、ニュースや新聞などの大手メディアにも言えることです。
相関関係を誤って解釈して、さも因果関係があるような顔をして主張されているものは本当に数多くあります。

相関があることと、因果があることはイコールではありません。
物事を決定する際に鍵になるのは多くの場合「因果関係」であり、「相関関係」ではないためです。
投資判断を行うときには、相関だけでなく、因果関係の推定を行うことが極めて重要です。

ではどんなときに相関があっても因果がないという状況が発生するのでしょうか?

<因果がないのに相関はある4パターン>

1.単なる偶然
2.因果の流れが逆
3.因果の上流に共通の要因がある
4.選択バイアスが生じている

このうち初心者の方が気にかけるべきなのは圧倒的に「1.単なる偶然」です。
他も大切なのですが、とりあえずこれだけ気にしてください。

冒頭にあげた「過去のチャートを見た感じだとすごく儲かっていたのに実際に動かすと全然儲からなくなってしまった」となってしまう最大の理由がこれです。
特定の手法で特定の区間を切り取ると、認知バイアスによって大抵の手法が良いように見えます。しかしその手法自体が優れていて、恒常的に機能し続けるケースはそうそうありません。

自分が信頼している手法や、過去の成功体験が単なる偶然で片付けられてしまうのは非常に腹立たしいと思います。偶然なわけがない。この手法は優れていると言いたくなる気持ちはとてもよくわかります。

そこで必要になるのが手法の検証です。
(これは今回のテーマからは外れるのですが気になるところだと思うので記載します)

手法の検証

システムトレードでは「バックテスト」と言われるものが一般的ですが、システムトレードに限らず裁量トレードでも手法の検証は重要です。
検証と言っても難しい操作は不要です。
検証したい手法で取引するとどうなるのかを過去のチャートに照らし合わせて、できれば100回、最低でも50回程度はさかのぼって確認しましょう。
いわば売買シミュレーションです。
シミュレーションのトレードの成績をまとめれば、バックテスト結果が出来上がります。

注意点として、裁量トレードを前提にこの作業を行う場合には、検証する箇所より未来のチャートは隠した状態で検証してください。
たとえば2019年4月1日00時から検証をスタートさせる際には、4月1日00時より先のチャートは見ずに売買シミュレーションを行いましょう。
隠さずにやってしまうと、必ず余計なバイアスが入って正しい検証ができません。
極めて重要です。必ず検証箇所より未来のチャートは隠してください。

※システムトレードの場合は普通にバックテストを行っていただければOKです。システムトレードのバックテストにおける注意点も色々ありますが、またの機会に。

シミュレーション結果が良ければ第一段階はクリアです。
ですが、まだこの段階ではただの偶然かもしれません。

機能するか確認

機能するか確認します。
未来のチャートをしっかりと隠しながら行った裁量トレードのシミュレーションであればある程度信頼がおけるはずです。
(板読み系の場合は実践あるのみですね)

これで実践した結果が良ければ継続、悪ければどこが悪かったのか(シミュレーション結果と違ったのか)を見つけて改善と行っていくだけです。
ここではわかりやすいようにシステムトレードでのカーブフィッティング例をお見せします。

これはTradingViewというチャート描画サービスで行ったサンプルのバックテスト結果です。

2019/1~5末までのバックテスト結果は良いものの(画像1枚目)、6月に入ってからはしばらく良くてあとはずっと損失を出してしまっています。(画像2枚目)
全体の損益グラフである2019/1~9/26を見るときれいな山を作ってしまっています。(画像3枚目)
これがカーブフィッティングです。
こんな風になることって本当にあるの?と思われるかもしれませんが、日常茶飯事です。少しでも気を抜くとすぐにこの状態になってしまいます。

カーブフィッティングが生じている場合、検証時点で上手くいっていたのは単なる偶然である可能性が非常に高いです。
相場環境が変化したからというのも当然理由にはなりますが、カーブフィッティング発生の原因の90%以上はそもそもの戦略に問題があり、たまたま当てはまるように作ってしまっていたことにあります。

なんだかシステムトレードにだけ関係する話で、裁量トレードには関係ないように聞こえるかもしれませんが、裁量でもカーブフィッティングは発生します。
裁量の場合は、検証段階や取引実行時に余計なバイアスが発生してしまいがちであり、原因究明がシステムトレードほど単純ではないのですが、まったく同じように発生しています。

まとめ

手法は良さそうで検証結果も良さそう≒相関がありそう!
だけど実際に試してみたら全然儲からなかったよ。。。

となってしまうのは、カーブフィッティングが発生しているからであり、一時的な相関があっても因果がなかったために起こったことです。
つまり検証や実践で上手くいっていたのは単なる偶然です。

ではカーブフィッティングを防ぐために何をどうすればよいのか?
それから裁量トレードの場合に排除すべきバイアスって何?どうすればいいの?

といった話については、今日はもう長くなってしまったのでまた今度書きます。
BBBでした。

仮想通貨アルゴリズム売買システム
“はむとれ”
オープンソース化につき、0円

プレゼントをもらう

株式会社BBB andCompany代表取締役。本をよく読みます。Twitterでも投資に関する様々な情報を発信しています。フォローしていただけると嬉しいです。

記事一覧

関連記事

運用のプロも使うリスクを抑える方法

メリークリスマス!(挨拶)もしどんなアルゴリズム取引に適用できる、リスクを抑えつつリターンを維持できるロジカルな手法があったらどうですか? 投資におけるリターンやリスクの…

取引戦略作成入門(仮説立案編)

BBBです。今日は取引戦略作りのスキル的なところではなく、考え方の部分を公開します。裁量トレード、システムトレードの区別なく参考にしていただければ幸いです。…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. 2019年 10月 10日